契約書の条、項、号の違い、よく間違える段落の書き方について解説

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こんにちは、「あなたの法務部」管理人の中川部長です。

今日は、契約書の条と項と号の書き方。

また、よく間違いが起こる段落の書き方について解説します。

ぼくは、よく「自分で書いた契約書をみてください」というような形で他人が書いた契約書をチェックさせてもらうことがよくあるのですが、本当によくある間違いとして、この条と項と号がごっちゃになっているというのがあります。

特に契約書に詳しくない人が、よくある雛形なんかを参考にして見よう見まねで作成すると、項と号がごっちゃになってしまっているというのを本当によく見かけます。

でも、なぜ間違うのかも、よくわかるんです。

それは、契約書には独特の書き方、段落のルールがあって、それを知らずに見ていると、そもそもごっちゃになって書かれているように見えるものなのです。

だから、書きなれていない人が書くと、項と号をごっちゃにしてしまうことがよくあるんですね。

今日は、なぜ、項と号を間違うのか、そこから解説したいと思います。

契約書の基本は、条と項と号の3つの段落からなる。

契約書には、段落があるのですが、基本は、条と項と号の3つからなっています。

第1条(目的)

1 甲は、乙に対し、・・・

  (1)情報通信に係る・・・

たとえば、上記の条文があるとすると

第1条とは、段落全体を指すことになります。

第1項は、「1 甲は、乙に対し・・・」の部分が該当し、この部分を第1条第1項といいます。

第1号は、「(1)情報通信に係る・・・」の部分が該当し、この部分を第1条第1項第1号といいます。

ここまでは、それほど難しくありませんし、勘違いも起こりません。

第1項が1項しか存在しない場合、数字を省略する。

契約書の独特のルールに、第1項が1項しか存在しない場合、1の数字を省略するというのがあります。

これを言い換えると、2項以降が存在しない第1項には、数字が振られません。

たとえば、先程の条文を持ってきたときに、もし項に第2項以降が存在しない場合、次のように書きます。

第1条(目的)

甲は、乙に対し・・・

(1)情報通信に係る

上記条文の「甲は、乙に対し・・・」の部分は、第1条第1項なのですが、先程と違って、「1」の数字がありません。

それは、2項が存在しないとそういう風に書くというルールがあるためです。

これに対し、2項が存在する場合、第1項は、前に1の数字を書くことになります。

第1条(目的)

1 甲は、乙に対し、・・・

  (1)情報通信に係る・・・

2 乙は、甲に対し、・・・

また、今回は、上記例では、1号を書いていますが、号が存在しない条文もたくさんあります。

たとえば、号がなく項のみで2項まであると次のように書きます。

第1条(目的)

1 甲は、乙に対し、・・・

2 乙は、甲に対し、・・・

繰り返しになりますが、もし第2項が存在しない場合、1の数字を振りません。

第1条(目的)

甲は、乙に対し、・・・

上記条文を見ると、条だけしか存在しないように見えます。

でも、この「甲は乙に対し・・・」の部分は、段落としては第1条第1項に該当するのです。

項は、数字を振ったり振られなかったりすることがあるため、契約書に慣れていない方は、ここが混乱してしまうのです。

第2項が存在しても、第1項の数字を省略する書き方もある。

次に、さらに契約書をややこしくしている書き方が、第2項が存在するのに、第1項の1の数字だけ省略することがある、というものです。

例をあげます。

(目的)

第1条 甲は、乙に対し・・・

 2 乙は、甲に対し・・・

上記例文では、第1条という文言の後、段落を改行せず「甲は、乙に対し・・・」と始まっていきます。

改行せずに書く場合、第1項の1の数字は省略します。

ですので、突然第1項の2の数字が現れることになり、この独特のルールも書き方を混乱させる原因の一つです。

号は、第1号から1の数字を書く

項は、第1項の1の数字が省略されることは、分かりました。

これに対し、号が省略されることはめったにありません。

基本的に、号が登場する場合は、2号以上に分かれることが多くありますし、そもそも1号を省略するというルールはありません。

先程の書き方で言うと

(目的)

第1条 甲は乙に対し、・・・

  (1)情報通信に係る・・・

(2)情報ネットワーク・・・

というような書き方をします。

上記の例で言うと、第1項の1の数字は、省略されています。

ですが、第1号の(1)の数字は省略されていません。

そうすると、見ようによっては、「(1)情報通信に係る・・・」という部分が1項と同じ段落と勘違いしてしまうというのは、本当によく起こります。

いくつかの例を見せます。

第1条(目的)

1 甲は、乙に対し、・・・

  (1)情報通信に係る・・・

  (2)情報ネットワーク・・・

2 乙は、甲に対し、・・・

第1条(目的)

甲は、乙に対し、・・・

  (1)情報通信に係る・・・

  (2)情報ネットワーク・・・

第1条(目的)

甲は、乙に対し、・・・

(目的)

第1条 甲は乙に対し、・・・

  (1)情報通信に係る・・・

(2)情報ネットワーク・・・

 2 乙は、甲に対し、・・・

(目的)

第1条 甲は乙に対し、・・・

  (1)情報通信に係る・・・

(2)情報ネットワーク・・・

(目的)

第1条 甲は乙に対し、・・・

項は、数字のみで、号は()「かっこ書き」のパターンが多い

だいたいの契約書では、項は、数字のみで書かれていて、号は、()「カッコ書き」で書かれているパターンが多いです。

今回、例で出したものも、すべて、項は数字のみで、号はかっこ書きで書いています。

分かりにくければ、確認してみてください。

もし、自分で雛形を参考にしながら、普通の数字と、かっこ書きの数字が出てきて、混乱したら、上記の条件に当てはまらないか、確認してみると解決します。

一度、ルールがわかってしまえば、ルール通りに書かれていますので、理解でき、自分で書くときも間違えなくなります。

契約書は、段落に関するルールがややこしく、はじめて書くときは、間違えやすいのです。

まとめ

契約書に関する、条、項、号の段落の書き方について解説しました。

契約書の条、項、号の書き方は、独特のルールがあり、そのルールを知らないと、ごっちゃにしてしまって、間違えて書くことが多いものです。

でも、一旦ルールを覚えてしまえば、それほど難しいわけではありませんので、理解できるところだと思います。

まずは、ルールを確認してみて、間違えないで書けるようにしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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