こんにちは、「あなたの法務部」管理人の中川です。
今回は、法定三帳簿について解説します。
法定三帳簿とは
法定三帳簿とは、労働者を雇用した場合に帳簿を作成することが法律で義務付けられている書類のことです。
法律で作成が義務付けられた3つの書類ということで、法定三帳簿というのです。
法定三帳簿は、次の3つの書類が該当します。
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 出勤簿等
では、それぞれ一つづつ見ていきましょう。
労働者名簿
労働者名簿は、各事業場ごとに作成が義務付けられている労働者に関する名簿です。
様式が決められていますが、基本的に記載すべき事項が記載されているのであれば、様式以外のものを使用しても可とされています。
労働者名簿に記載すべき事項は、以下の通りです。
- 労働者氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇入年月日
- 退職や死亡年月日とその理由や原因
厚生労働省のホームページでは、様式が公開されています。
賃金台帳
賃金台帳も各事業場ごとに、労働者の賃金計算の基礎となる事項について記載しなければなりません。
また、賃金台帳は、賃金の支払の都度、遅滞なく作成する必要があります。
賃金台帳も様式が定められていますので、様式を使用することで記載事項に漏れなく作成することができます。
賃金台帳も記載事項が法令で定められており、すべて記載する必要があります。
漏れなく記載しているのであれば、様式を使用しなくても可とされています。
賃金台帳に必要な記載事項は、以下です。
- 労働者氏名
- 性別
- 賃金の計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働時間数
- 深夜労働時間数
- 休日労働時間数
- 基本給や手当等の種類と額
- 控除項目と額
賃金台帳も厚生労働省のホームページで様式が公開されています。
出勤簿等
出勤簿は、労働者の出退勤の記録や、タイムレコーダーの記録のことになります。
労働者の賃金の計算や、労働者の労働時間を適性に把握するために、必要なものになります。
労働者名簿や賃金台帳は、労働基準法に明確に作成が義務付けられているのですが、出勤簿は条文として作成義務が出てくるわけではありません。
ですが、使用者は、労働者の労働時間について適正に把握する責務があり、そのために使用者が講ずべき措置が定められています。
その一つとして、使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録することが求められています。
そのためには、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録する必要があります。
出勤簿は、労働時間の客観的な記録を確認する書類として重要とされています。
出勤簿は、様式に定めがあるわけではなく、任意様式となっています。
保存期間
法定三帳簿は、法令により作成が義務付けられているのですが、保存期間も決められています。
従来は3年間の保存だったのですが、令和2年4月の法改正により5年間の保存となっています。
ただし、経過措置がありますので、作成時期によっては3年の保存の場合もあります。
参考条文
以下、参考条文です。
労働基準法
…(略)…
(労働者名簿)
第百七条 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
② 前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。
(賃金台帳)
第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。…(略)…
労働基準法
参考:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー」
まとめ
法定三帳簿について解説しました。
法定三帳簿は、法令により作成が義務付けられていて、記載事項も決められているものです。
また、保存義務もあります。
きちんと理解して法令を遵守するようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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